【完】スマイリー☆症候群



次の日。

若干目の下あたりにクマができた俺は、さらに睡魔と闘う羽目になってしまった。

というのも、朝から観光地へ行っては、お土産を買いたいとわーわー騒ぐ奴等に、付き合わなければならなかったからだ。

相当はしゃいで、何軒も土産屋をはしごする彼女達に対し、俺の眠気はもう既に限界に達そうとしていた。


「清水、貴様のお陰で俺は死闘の一日になりそうだ」

「は?」


全く自覚のないであろう清水に、俺はチクリと棘を刺しておいた。


――そして時が経ち、午後10時46分。


「やっと眠りにつける……」


部屋にある掛け時計を見ると、もうすぐ消灯時間となっていた。

この時をどれだけ待ち望んだか! 俺の心は多大な喜悦感に包まれる。


「清水、早く寝るぞ」

「ラジャー!」


そして俺は、静かに瞳を閉じた。

柔らかい枕に癒され、今まさに、夢の中へと落ちようとしている俺。


「ゲヘヘヘッ。萌え〜……」

「……っ」


夢の中へ落ちようとしている……。

そんな俺をまるで嘲笑うかのように、痛快な音が耳を劈く 。

……まただ。

俺の快適な眠りは、またもや悪の大魔神、清水孝治によって阻まれてしまったのだ。
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