【完】スマイリー☆症候群



「……そうだな。そろそろ行くとするか、清水寺に」

「そうね。こんなとこで止まってないで、さっさと行きましょう? ね、笑佳」

「あ、うん」


続々と集まる賛成の声。

よかった。本当に本気でよかったよ。


「じゃあ行……「あ、ちょい清水、こっち来て」


瞬時に響いた犬塚の声によって、俺の言葉はバサッと遮られた。

そして犬塚は、こっちに来いと言わんばかりに俺に手招きする。

な。何なんすか、犬塚さん!?


「どうしたの? 椿ちゃん」

「笑佳。ちょっと亮介と先行ってて」

「……わかった」


俺から遠ざかっていく、宮永と植木の姿。

それに比例して、段々と俺に近づいてくる犬塚。


「な、何か用?」


なんて、ヘラッとしていられるのもつかの間。睨みをきかせた犬塚の顔が、俺を緊張させる。


「ご、ごめんなさい! もうしません! もう絶対にしませんから、許してくださいっ!」


怒られる!

そう思った瞬間、俺はとっさに叫んでしまっていた。
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