すたんだっぷ!!
外はすっかり夕暮れ時。
この時期は暗くなるのが早いから、
こうして部活が始まるときの景色がいちばん穏やかな気がする。
そんな風景を見ながら、夕紀と一緒に部室塔の階段を上っていく。
部室塔3階の校庭側の角部屋が私たち、女子のテニス部の部室だ。
スライド式の扉に手を掛けていつも通り、中に入る。
「おはよーっ。」
室内では、ジャージに着替えてたり、携帯でメールを打ってたり、みんなそれぞれ別なことをしている。
「はよ~ハル、夕紀。」
みんなそれぞれ作業をしながら、挨拶を交わし合う。
今日も寒いね~なんて世間話をしながら、ローファーを脱いで鞄を下す。
準備も比較的ゆっくりめ。女子特有とも言うべきか。まぁ話すのが大好きなんだよね、用意よりもメインになっちゃうw
洗濯物のサイクルで決まるジャージは昨日とは違うもの。今日はホワイト&ブラックのジャージに着替える。
「あーハルそれかぁ。アタシも白のにすればよかったー。」
こう嘆くのは我が硬式テニス部の部長の神田知佳(ちか)。しっかり者で、テニスも上手くて、みんなから頼られる存在だ。
そして、いつも周りのことを見ていてくれる。
「え?なんでー?」
私が不思議そうに尋ねると、知佳は残念そーに紺色のジャージに袖を通しながら、
「だってぇ、昨日までうちら3日連続で同じ色のヤツ(ジャージ)着てたんだよ~、なんか惜しいじゃん!」
言われて気付く。確かに昨日そんな話を帰りにしてたよーな気がする。
「あ、そーいうことね!笑 まぁあれは狙ってやってるんじゃないからさ!」
だよね~wなんて笑いながらも、部長はこうしてみんなとコミュニケーションを自然に取ってくれている。
もちろんあたし達2年だけではなく、1年生の部員にもちゃーんと。
些細なことでも気付いてくれる部長は本当に無くてはならない存在で。
だからみんな、知佳のことが大好きだ。