ウソ時々ホント【短編】

正直青年の独り言

俺の幼なじみ、井上 公佳(イノウエ キミカ)は、嘘をつくのが好きだ。
彼女いわくは、俺があまりにもあっさり騙されるから楽しいらしい。

俺は、そうして騙された俺を見る楽しげな目が好きだ。

そう、俺はひそかに彼女に思いを寄せている。
気が付いたのは中2の頃。想いを告げる事もできずに、僕は彼女の隣にいる。

幼稚園の頃から一緒にいた。
歳を経るにつれ、公佳は美人になっていった。
本人は全然自覚ないけど、結構陰で想いを寄せていた男子はいっぱいいて恋を自覚してなかった頃はなんでその事で苛々したのかわからなかった。


中学に入ってから、女子と男子が何となく意識しあって距離を隔てるようになった頃、周りの女子と少し考え方が違った公佳は、何となく、女子の間から浮いていた。
俺以外の人には、あからさまな嘘なんてつかなくて、気を遣うのがうまかったから嫌われている様子はなかった。けど、

俺が見てもわかる程、俺といる時以外、公佳は一人だった。
一人、背筋を伸ばし、ただ文庫本を読んでいた。


いつの日からか、俺はその姿の凛々しさに、美しさに見とれるようになっていた。
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