ネモ的、SFファンタジー短編集
 かつての地上で暮らしていた人たちが死に絶え、人口も2億人を突破。生活がだいぶ安定してくると、海底ドーム内でのいざこざが目立つようになってきた。


 その理由は、宗教だったり、倫理概念だったり、土地の取り合いだったりと、様々だったが、結果はいつも一緒で『戦争』という、形で終わっていた・・・・。


 朧新月208年7月。


 そんな中、海底ドームの西側にひっそりと構える虎神帝国は、ドームが出来てから50年たってから出来た、まったくの新設国家であり、他国と違って、地上での歴史というものがまったくない国であった。


 そのため、あまりプライドというものがなかったのか、ポリシーというものがなかったのか、開国わずか150年足らずで、ドーム内最大の規模の産業国家へとのし上がるコトに成功した国家でもある。


 その国が、ドーム内でもっとも力を持っていると思われたアトランテ合衆国と戦争に入ったのは、今から10年前、朧新月198年の6月からだった。


 開戦理由は、虎神軍の過激派によるテロ活動だったとか言われているが、もはや、そんなことは、どうでもいい・・・・・・・。


 歴史を重んじるアトランテと、新生国家の虎神。


 水と油の仲だった両国の戦争は、ある意味、誰もが予想していたことだったし、誰もが警戒していた戦争であった。


 数で攻めるアトランテに対して次々と新兵器を投入してくる虎神。


 誰もが、地上最後の戦争の再来だと恐怖した。


 そこから起こる、他国の介入。


 同盟、裏取引、形だけの条約。戦争のルール・・・・・・・。


 戦争は、あっという間に膠着。


 開戦から10年がたとうとしている今日でも、未だ戦火のやまない日はない・・・。



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