ビタースイート・キス
だからと言って、休むと言う選択肢は毛頭ない。
嫌いだけれど、絶対に“学校”を休みはしない。

そんな矛盾点から思慮するに、あたしが嫌いなのは制服、……なのかも知れない。


クラスメートの中には制服にステータスを感じる子もいるけれど、あたしは学生である事を誇示する制服が苦痛で仕方ない。


だって、嫌でも高校生である事を――生徒だって事を、思い知らされてしまうから。


「はぁ……」

苦々しい方向に動き出した思考を遮断したくて、溜め息を一つ。

そして大嫌いな制服のポケットの中に手を突っ込む。


取り出された目的の品は煙草とライター。
未成年には禁じられたそれをあたしは欲していた。
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