私の風

出会い

俺は
いつものように
海に向かう。

快晴の空の下、
サーフボードに
乗り、
波を捕らえる。

今日は波が
やけに激しい。
と言うより、
海のテンションが
高い。


「…何かあるのか?」


こうゆう時は
海に身を
ゆだねればいい。

俺は
サーフボードに
しゃがみ、
そのまま
仰向けに
寝転がった。



昔からそうだ。


俺は海に
愛されている。
海では俺は、
決して死なない。

そして
海から感情を
伝えてくる時は、
海に
身をゆだねる。


俺が
サーフボードから
落ちる事はない。

勘違いとか
奇跡とか
偶然とか
俺のバランス感覚の
問題とか
よく言われる。

確かに
理由はないし、
平衡感覚も
悪くない。

けれど、
理屈ではないのだ。
微塵も
不安を感じない。

むしろ、
陸で寝るより
安心している。
と言っても、
過言ではない。


その海が
俺に
話しかけている。


「今日はなんだ…。魚群か?それとも…。」


一度、
小魚の魚群の
真ん中に
落とされた事がある。

考えているうちに、
目の奥に
潜んでいた
眠気が
体を支配し、



一時間、
海を
漂い続けた。
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