太陽はいつも雲の上で照り輝いている
《十二章》大事な大切な二人の運命
その日の内に、お父さんは緊急入院

お父さんやお母さんやかつくんの顔を見ても言葉がみつからず


『お父さん、しっかり診てもらって、治療に専念しましょ』

『風ちゃん…わしがこんな病気になるとは思いもしなかったわ』

終始、笑い顔を見せながら心配させじと振る舞うお父さん、その優しさが、胸を締め付ける


『白血病は今は治る病気ですから…』

それ以上、簡単に言葉はだせなかった

『まゆ、おかんには言うたんか』

『うん、二、三日で退院やから、それから言う』

『そうか……すまんな、こんな病気になって』

『お父さんは、余計な事、考えないで治療に集中』

白血病の治療は、壮絶な戦いである事は知っていた

マルク、抗がん剤、無菌室、その戦いはゆっくり始まった

輸血をしながら、回数分けての抗がん剤……
お父さんの髪は落ち、苦痛な治療を耐え、ドナーを待つ時間が、家族みんなに長い長いトンネルに思えた


『ドナーが見つかったほとんど一致しない、白血球の型も一致するドナーが三人も』

奇跡

あり得る事のない三人の一致
奇跡以上の奇跡が

僕は、また、

『お父ありがとう、こんなに何度も奇跡をありがとうお父』

そう思うと、空の太陽に手を伸ばした
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