まほろば【古代編】
トヨ様は本当に綺麗な人だなって思う。

容姿云々と言うより、内側にあるものが綺麗なんだと思う。

おいらには人には見えないものが見えるらしい。

それに気が付いたのは、トヨ様と出会ったから。

トヨ様の内に光る穢れのない玲瓏な魂がおいらを捕らえて離さない。

そんなトヨ様の心が揺れる瞬間がある。

それは不安定な揺らぎではなく、むしろ心地よくなるような揺れ。

それが現れるのはすべてアキという名前が出るとき。

だから、おいらはアキ兄ちゃんにすごく興味を持ったんだ。

別に嫉妬したわけじゃない。

負け惜しみでもなんでもなく。
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