%短編:侵された体%

ニャ~。

どこかで猫の鳴き声が聞こえる。

聞き覚えのある、甘えた声。


そうだ。これは、ミミの声。

助けて。

ミミ、助けて!


「ゆりちゃん、朝よ!起きないと遅刻するわよ!」


聞きなれたママの声で、あたしははっと目を開いた。


「マ、ママ?」


歪んだ視界に、不思議そうなママの顔。


「なぁに?中学生にもなって、まだ寝ぼけてるの?

今日は、朝練があるから早くおこせって言ってたでしょ」


「あ、そうだった!

大変!!」


今日は、テニス部の朝練の日だ。

あたしは、ベッドからずり落ちるようにして飛び起きた。


「ごはんできてるから、顔洗ってね」


ママはあたしが起きたのを確認すると、

台所へと降りていった。




< 2 / 47 >

この作品をシェア

pagetop