先生と王子様と演劇部な私。
 私の手を離して急に言われたので、一瞬何のことか分からずに首を傾げる。


「……堀木戸に」

「え!」


 思わず笑顔になってしまうと、朗先生はちょっと眉をしかめた。


「今から時間あるか?」

 朗先生がちょっと不機嫌そうに言う。今日は授業がなかった分、帰りが早いから時間はあるけど……。

「私はいいですけど……今からって堀木戸さんが困るんじゃ?」


「やつの心配なんかしなくていい」



 朗先生はそう言うと携帯を取り出して、どこかに電話をしはじめた。


「俺だけど。今から時間あるか? あるよな? ……あ? とにかく時間空けろ」

 パタン、と朗先生が携帯を折り畳む。



 えぇ!? 今のでいいの? 何かとっても一方的で、威圧的でしたけど?


「朗先生と電話ってしたくないかも……」

 思わず呟くと、朗先生にギロリと睨まれてしまった。

「いえ、冗談です……」
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