先生と王子様と演劇部な私。
「まだ分からない?」

 朗先生が呆れたように言う。

 私以外は山野を叩いても関係ないと……?


「柚子があんなのを引っ叩いて、嫌な気持ちになる必要ないんだよ」



 そういうと、朗先生は私の右手を挙げて、指に軽くキスを落とした。



「俺が守りたいのは生徒、じゃないよ」




 ――それって?



「だから、柚子。変に避けたり、急によそよそしくするな……」

 朗先生が少し困ったように言うものだから、私は考える間もなく、はい、と返事をしていた。


 それを聞いた朗先生がふわり、と微笑む。


 優しい微笑みにドキドキしてしまう。何だろう、この感じ……。


< 140 / 238 >

この作品をシェア

pagetop