先生と王子様と演劇部な私。
「シンデレラを探す姿が……切なくて素敵でした」

 私がそう言うと、王子様は左手を後ろに、右手を前にして、ありがとうございます、とお辞儀をした。


「本物の王子様?」


 その姿を見て思わず真顔で質問してしまうと、王子様は柔らかく微笑んだ。

「誰でも、誰かの王子様で、誰かのお姫様かも知れません」

 王子様はそう言うと、かがんで私の手を取った。



「私もシンデレラになれる?」

「きっとなれますよ」



 私の質問に優しく答える王子様。表情は微笑んだままだ。
 だけど、違う、と私が言うと王子様は不思議そうに首を傾(かし)げた。
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