先生と王子様と演劇部な私。
 少し、由美ちゃんと話していると、音楽が鳴り始めた。


 これ、舞踏会の音楽だ。


「あら、シンデレラね?」


 由美ちゃんはそう言って私の顔を見ると、あぁ、と呟いた。何か分かったみたい。


「五年前のシンデレラ、王子様が引き立つように私が脚本書いたのよ」

 由美ちゃんは嬉しそうに言うと、身を乗り出して舞台に注目する。私も固唾を飲み込み、舞台をじっと見つめた。



 音調が変わり、上座から王子様が舞いながら現れた。



 五年前に観た、あの時の舞いだ。衣装もちゃんと着てくれている。



 体の芯からゾクゾクするのが分かる。
< 180 / 238 >

この作品をシェア

pagetop