先生と王子様と演劇部な私。
 今日は朗先生の授業がある日。


 日本史なんだけど、大抵は黙々と黒板に要点を書き、教科書は生徒に読ませる。


「ここ」

 そういって黒板をトントンと叩いた。ここテストに出すぞ、という意味ね。

 先生は喋らない分、文字が多いから写すこっちは必死。だけど、ほぼ黒板だけで進めるだけあって読みやすくて要点が分かりやすい。
 大抵そのまんま写せばキレイなノートの出来上がり。


 カリカリカリ……。生徒たちが必死に写している間、先生は後ろに立って見張っている。これ、いつもの授業姿。



 そして視線を感じる。私が振り向くと、朗先生と目が合う。これも、いつものこと。



 パチッ。



 今日も先生と目が合う。……でもいつもと違う。



 先生が目を逸らさない。いつもは二秒くらいで逸らされるのに。
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