先生と王子様と演劇部な私。
 シンデレラをやるという心の支えがなくなった今、確かに寂しいかも知れないな……。


「柚子って、理想はホント高いよね」

 エミが呆れたように言った。いやいや、口では面食いって言い逃れてるだけで、別に面食いってわけじゃないのよ……。
 王子様は確かに、たまたまカッコ良かったけど。
 たまたまにしたらカッコ良すぎたと思うけど。

「そんなカッコいい人がどこにいて、いつ振り向いてくれるのよ」

 エミ、それは言っちゃいけないよ。私はそこは言い返せず、がっくりと頭を下げた。



 でもね。面食い、という面ならば……後ろを振り返ればね、存在してるんだよね。


「……」


 はい、朗先生登場です。というより私たちの後ろを歩いてたみたい。


 私はまた視線で気が付いたんだけど。

 相変わらず目が合います……。
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