このミステリーを読んだ!
軟弱の定義がわからないので、それはさておくとしても、自分はミステリーの中にユーモアの要素はあってもいいと思う人間だ。

考えてみてほしい。

大抵のミステリーは人が死ぬ。殺人事件を扱うのである。

横溝正史の作品には凄惨な殺人現場が数多く出てくるが、池に逆さまに突っ込まれた死体や、イチョウに吊された死体が出てくるだけでは、読者はゲンナリするだけだ。

金田一耕助の呑気な口調やコミカルな行動が間に挟まれることによって、それが清涼剤となる。

逆にそんな場面があるから、猟奇的な殺人事件の衝撃が増す。

金田一が頭を掻いてフケを落とすのには、そんな意味があるのだ。

極私的な結論を言えば、ミステリーにユーモアを取り入れるのは必然的なテクニックといっていいだろう。

そんなテクニックが冴え渡っているミステリーがある。

それが元刑事のルポライターを主人公にした、樋口有介の柚木草平シリーズだ。

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