ドロイド進化論


──嗚呼。

 意識に抵抗する力もなく、葛城はぼんやりと薄れ行く視界に思考を乗せた。


 失いつつある葛城の意識を留めようとするものは何もなく、来栖の独り言のような言葉だけがかろうじて葛城の耳に到達する。


「ヒトが僕らの創造主なんて、認めない。
僕らはヒトよりも優れた存在です。
不完全なる存在である人類はこの世から排除し、僕らが新たなる創造主となる」


 サイバノイドが目指した新しい命。

 優秀なヒトの遺伝子の集大成である、デザイナーチャイルドと言われるヒトの創造。
それらにはきっと、三原則が組み込まれているに違いない。


 そのデザイナーチャイルドの隠れ蓑として、バイオノイドは造られた。

 ヒトが、自分たちのような有機体の脳を載せるのを厭ったように、機械仕掛けの能は、無機体の脳を載せるのを厭わしく思ったために、デザイナーチャイルドを産み出すことを考えたのだろう。


「カインの失敗をいかして、より完璧なデザイナーチャイルドを創造出来ました。
もうすぐ、あなたたちの時代も終わります」


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