大好き。



「優ちゃん」


昼休み。

真奈とまた中庭で食べるか相談していたら、大翔先輩が教室の扉の前であたしを呼んだ。



「……大翔先輩」


あー…。


水城とのことでいっぱいいっぱいですっかり忘れてた。



「今日も一緒に帰らない?」


教室はちょうど静まっていたから、やけに先輩の声が響いた。



「……ご、ごめんなさい。今日は真奈と帰ります」


あたしが断ると、先輩の顔が近づいてきた。






「……水城 真祐のこと。好きなんでしょ?」



「はっ!?」


耳元で囁かれた言葉に驚く。



「色々教えてあげてもいいんだけどなぁ?」


ニヤリと笑って、少し離れた。



「……一緒に帰ります」


だから真奈に単純って言われるんだよね。


水城に弱い自分に苦笑する。



「じゃあ待ってるね」


ニコニコしながら教室を去ると、いきなり女子の群れに質問攻めされた。



「優ちゃん!大翔先輩とどういう関係!?」



「付き合ってんの!?」



…あんたら、いつも水城の周りにいる子らじゃん。



「……何でそんなこと言わなきゃいけないの?」


やっぱり本気で水城のことを想ってなかった女子達にイラついて、冷たい態度をとる。



ちらっと水城の方を見ると、ボーっとジュースのパックを片手に教室から出て行くとこだった。
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