新月の夜
れる。

「何を企んでいるんだ…?」


車の中。

「あ…あの…。」
「大丈夫。ふふふ。運転してる人は私の姉の旦那さん。つまり悠の伯父さんね。」
「え…。」

義人は、

「何も打ち合わせしてないみたいだけど…。」
「アポなし♪」
「……。」
「義人さん。このコ坂井くんの妹さんよ。」
「確か前に…。」

麻友美は咳込む。母は、

「大丈夫?」
「…はい。」

何度も咳込む。そのうちに手に血がつく。

「う…。」

義人はおかしく思い、

「ま、まさか…。」
「…妊娠しているんです。あ…あの…。」

母はし〜っと制止の合図。

「え…。」

無理に言わなくていいのよ。

「……。」


会社。母は麻友美を秘密の入口から入れる。エレベーターを上り、ある部屋へ。

「座ってね。ここは仮眠室。住めるようになってるの。一般の社員は使えないけど。何かあった時に泊まれるように。待ってて、温かい飲み物でも作るね。赤ちゃんに気を遣わないとね。」
「私は…。」

母は麻友美に、

「私からのささやかなお祝い。」

と囁く。

「お義兄さん、きちんとみててね。」
「はい。」
「余計な事聞かないであげて。妊婦さんを不安にさせたらダメ。」


義人と麻友美は二人きり。麻友美は吐き気をもよおす。義人は優しくさする。

「…ありがとうございます。」

義人は笑って、

「さするのは慣れてます。9人のパパしてますから。」


母は持って来る。

「大丈夫よ。無添加だから赤ちゃんにやさしいわ。」

麻友美は飲む。

「…おいしい。」
「まだ時間あるしゆっくり休んでて。」
「…そんな。」
「妊婦さんはいたわらないと。私も妊娠しちゃったから。あなたには逃げて欲しくないわ。」
「……。」
「じゃあ添い寝する?なんてね。」


母に乗せられて眠る麻友美。母と義人は隠れる。

「…何でこんな事?」
「とある人を陥れる為の計画。」
「誰です?」
「そのうちわかるわ。」


悠太は帽子を深々と被り、会社へ、
入口。受付嬢。

「…平川あさみさんいますか?」

悠太はばれてしまう。

「きゃぁ〜握手してください!」
「……
< 187 / 257 >

この作品をシェア

pagetop