新月の夜
「姉さん、どうだった?姉さんいなくて寂しかった。」
「ごめんね?」
「母さんに聞いた。彼の所へ行ったんでしょ?兄さんは送り迎え。」
「…失敬な。」
「入ろう?」
「うん。」


祐貴の部屋。祐貴は聞く。

「すごいね、親戚も来てたんだ。」

いちゃいちゃ。兄は、

「…恋人か?」

祐貴は、

「姉さんは大切だよ。」
「…あのなぁ、お前、彼女いるんだろ?」

麻友美は、

「いるよ。とびっきりかわいいの。」
「…なら。」
「本人も兄弟は大切にしなさいと言うタイプだし。」
「絢ちゃんはお兄さん達と仲良しだよ。だからね。」
「キスしたら?」
「弟にはキスしません。」

麻友美はお腹をさすって、

「このコがいる前で言わないで?」
「…ごめん。」
「お兄ちゃんだって好きな人とキスしたいでしょ?」
「……。」
「いずれ結婚したいでしょ?子供が欲しいでしょ?」
「…ああ、でも相手がいない。モテないし、長男だし慎重にしたいけどなかなかいないよ。理解してくれるような人がさ。」
「お兄ちゃん…。」
「大丈夫だ。果報は寝て待てだ。」
「恋人は寝てるより探さないといけないんだよ。」
「……。」
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