新月の夜
「…違うよ。お互い愛し合っていてもそれを抑えるのも優しさじゃない?逃げない?信じてる。側にいるだけで落ち着くんだ。話して、笑って、些細なことでもすごく幸せな事がある。」

「聞いたぞ。」

びくっ!?

悠太と麻友美だ。

「聞いちゃった。いや〜ん、本人聞いたら泣いて喜ぶよ。」
「…有り得る。甘え上戸だもんなぁ。」
「…言わないでね。」
「言わないよ。言ったら祐の口から直接聞きたかったと言われるもん。」
「男からプロポーズするものだ。他人が言う事ではないよ。でも、カッコイイなぁ。」

悠太は祐貴を抱いて、こそこそ、

「絢ちゃんを一生かけて守るんだ。保証する。絢ちゃんは天使だ。」

祐貴は悠太の囁きにぞくっとするが、一息ついて、

「信じています、やっと男として、少しずつ自覚が芽生えてきました。」

麻友美は、

「祐貴カッコイイ☆」
「で、離れて欲しいな…。」
「義弟だから感情が出るんだ。」
「だって…みんな見てる。」

麻友美の両親は、兄弟仲良しでいいなぁ、というカオ。悠太の両親は、

「このコが弟くんね、かわいいなぁ。」

麻友美の兄は悠太の両親に頭を下げる。

「いいのよ。うちのバカ息子がそうしたのだし。私達が頭を下げないといけないくらい。」
「まだ奈央は1つだけど、結婚するようになると同じように抵抗するだろうし。娘はかわいい。いずれ嫁に出す事を考えると切なくなる。考えたくないくらい。」
「奈央様はどうされたのですか?」
「奈央は家で和也が見ています。義人と長男と次女が応援に来ている。赤ちゃんの扱いは上手いですから。さすがというべきだ。」

父は麻友美に、

「悠太が何かした時は言いなさい。」

と言う。

「ありがとうございます。」
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