新月の夜
んて悲しいよ。」
「ありがとうお兄ちゃん。それが1番嬉しいよ。」
「会える時くらい存分に癒されなさい。」

亜希は優しく語りかける。絢美と祐貴は見つめ合う。
絢美は甘える。祐貴は受け入れる。
麻友美はくすくす笑っている。

「かわいい。」

お腹をさすって、

「お兄ちゃんとお姉ちゃんは仲良しだね?」

と語りかける。反応がある。亜希は真剣なカオをして、

「今日は大事な話があります。」
「?」
「独立しようと考えています。」
「え?」
「皆さんには話してあります。弟も付いて行くと言ってくれた。」
「…みんなは…悠は何て言ってたのですか?」
「理解してくれました。悠太君は麻友美さんに話すと言っていましたけれどそれは私の考えた話、直接話したかった。」
「私は…。」
「無理に強要はしません。」
「…私はお兄さんに付いていきます。きっとみんな同じ考えです。」
「言っていました。麻友美さんもそう言うだろうと。だから付いていきたいと。弟君がいてちょうどよかった、キミが大学を卒業したら働かないかな?ハンティングです。事務や経理をして欲しいと考えている。わかっていると思うけど私は独身の身。お付き合いしている女性もいない、弟のお嫁さんもいるけれど姪っ子もいるし、まだ若い。兄弟も欲しいだろう。もし、負担をかけて子供が出来なくなるのはいけない。卒業するまではバイトとしてでもいいから来て欲しい。」
「はい…。」
「持ち逃げされたら嫌だろう?信頼できる人間。わかるかな?それは、君を絢美の旦那として受け入れる準備はいつでもあるということ。」
「ありがとうございます。」

亜希は笑って、

「絢美、この際押し倒したら?」
「え…。」

ドサッ!?

絢美は祐貴を押し倒し、

「大好き。捨てないで?」
「捨てる訳ないよ。好きだよ。気付いた。戻れないくらい好きです。」
「キスして?」
「恥ずかしいよ。」

祐貴が恥ずかしがると、麻友美と亜希は、

「どうぞ。」

と言う。

「…でも。」

亜希は、

「キスしないと姫はムスッとするよ。」
「……。」

ちゅっ。


産休中の麻友美は悠太の親の会社の控室で悠太の妹、奈央の面倒を見ている。(一人にはさせておけない母の気遣い)
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