新月の夜
パはエッチィだねぇ?」
「お兄ちゃん!」
「代われってば。」
「…わかったわよ。」

あさみはナオキに代わる。

「…ごめん、あさみが興奮して暴走してる。」
「いいよ、で、悠太君は?」
「喜んでる。元気な男の子だ。お見舞いに行くよ。私は悠太のおじさんだ。」
「ありがとう。お義兄さん。」
「…あなたにお兄さんは不思議。年上だし、位は上、何百人を率いている会社社長。妻にうん百万の指輪は贈れない。」
「……。」
「いろいろあるのはわかるさ。あさみは私らには本心を打ち明けない。わかるよ、あさみの辛さくらい。それでもあなたを愛しているから。何度刺してやろうかと思ったか。あさみを苦しまして、助けない酷い男、健気に愛し続けるあさみに疑問だって持った。でも、優しい二人の息子、和也と悠太がこう育ったのはあなたがいい人だから。」
「…私はあさみを何一つ守ってやれなかった愚か者。本多家の一族にどれだけ謝っても許されないこと。エロ旦那って言ったろう?奈央のきっかけは、悠太からもたらされた光。だから奈央は悠太が好きなのかな?あの頃、麻友美ちゃんに初めて会ったかな?私は鈍感だから気付かなかったけど、あさみによれば、あさみの懐妊に動揺して、混乱して部屋に篭った悠太を説得しようと向かった麻友美ちゃんを押し倒してたらしい。悠太も男だし。いつだって麻友美ちゃんが支えてくれた。」
「今はあなたを信じています。最近の妻として認められたあさみは前より美しい。迷いが抜けた。」
「一生かけてあさみを守る。命が途絶えるまで。」


「だもんな…。」
「え、そう見えません。落ち着いて、優しく接して頂いて…。」

麻友美が言うと。

「強がりだよ。本当はすごく嬉しくて絶頂期。そんな性格だよ、妹は。」
「……。」


悠太と麻友美と赤ちゃんがいると、悠太の笑顔が凍り付く。

「……。」

悠太の祖父。

「な、何しに来たのですか?」
「悠太も私を嫌っているのだな。」
「当たり前です。母さんを虐げて、いじめて、それで嫌いにならないはずがない。」
「…本当は謝りたいんだ。あさみさんに。」
「は?」
「…悪い事をしたと思っている。あさみさんに、ナオキにも。わかっている、あさみさんの心の傷が深い事。私は最低な事をした。…私は和也と悠太を愛している。か
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