新月の夜
あさみの腕の中で眠っている)
涙が。ナオキはあさみを優しく抱く。

「ナオキさん…。」
「愛してる。」


祖父は、

「それから何度も、良かったよ。それがナオキを誘惑したカラダか。と脅して、あさみさんを怯えさせた。」


ナオキも記憶が蘇る。ゴミ袋に詰められたビリビリに裂かれたあさみの服。犯人は父親だった。どうしてあさみの傷に気付いてやれなかったのだろう。その日、抱いたあさみのカラダは抵抗しただろう傷だらけで、所々に生々しい唇の痕が残っていた。覚えているようで小さく拒むあさみが辛かった。誰かに襲われた。

”ナオキさん助けて…。”

という寝言を聞いて、襲った誰だかわからない男を憎く思い、同時に、気付いて仕事から抜け出してでも助けてやれなかった罪悪感。次の日、和也の検診と嘘をつき、病院に行かせた事。二人目欲しいと。その夜、あさみに、

「お腹にはまだいないみたい。」

と言われ安心して抱きしめた事。
悠太の存在がわかるまで毎日のように、行為を休んでる日でもあさみだけは裸にさせて、あさみを感じさせた。あさみを守る。こんなダメな夫でも一生付いて来てくれ。そんなキモチもこもっていた。


悠太は、

「最低だ!やはりあなたはキライだ!ずっと変わらない!苦しむ要因を作ったあなたが憎い!許さない!!」

そこへ、

「あれ、父さん、来ていたのですね。」
「……。」

ナオキ達。悠太は、

「謝れ、謝るんだ!!」

麻友美は、

「止めて!」

と言う。

「麻友も聞いただろう?おじいさん、いや、この男の犯した罪を!それは紛れも無く犯罪だ!!謝れ!詫びるんだ!!許さなれないまま一生謝れ!!」

奈央は起きる。怒鳴る悠太に泣く。あさみは、

「いいのよ。誰も傷つかなくてもいい。私の事はもういいの。」
「…ごめんなさい…ごめんなさい!!」

祖父は謝る。あさみは祖父に手を差し延べて、

「お義父様、そんなことおっしゃらないでください。私は構いません。」
「母さん、そいつがしたことは…。」
「止めなさい!…忘れないわ。辛かったし、あなた達にも言えなかった。生々しく残ってるわ。でもね、責めて消える事ではないわ。また傷付けるだけ。私が耐えていればいいの。それだけ。お義父様、私は何
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