新月の夜
は、

「乗り気でないみたいですね…。」
「…あの軽いノリにはなかなかついていけないので。」
「軽いんですか?」

悠太が言うと、

「…まぁ、根はしっかりしているのですが…。」

沙織は、

「不服ですか?」
「…心配ですよ。新人くん。」
「新人!?男の人ですね。」

美里が言うと、

「…呼んできましょう。」

亜希は呼びに行く。

「しかし、あのマネージャーさんがおどおどする新人って?」

誠治が言うと、亜希が戻って来る。そして…。

「うわぁ。すごい、有名人だぁ。」
「!?」
「お…同じカオ!?」

そこへ、

「何で私を置いて行って、更に待たせるの…!?」

絢美だ。絢美の動きが止まる。

「よ、あ〜や!」

絢美は、

「…仕事は!」

にっこり、

「辞めた。」
「お兄ちゃん!」

麻友美は、

「やはり…。」
「お兄ちゃん…ママは、パパも、あきとお兄ちゃんも!」
「実家にいるよ。」
「何であつきお兄ちゃんがいるの。まさか、誰か狙おうとしてないでしょうね。たらしの尻軽男だもん。」
「…(亜希)。」

あつきは、

「…こう見えても意外に女性には一途だったりするぞ…。亜希兄さんが何も不満を言わないから、やりがいのある仕事かなって。重労働は苦にはならない。前は、何か窮屈で。あ〜やと亜希兄さんとは5つ離れているけど僕と兄さんは年子だ。だから、正直に相談したりしたい。でも、いくら聞いても幸せの一言だ。こうやって誇れるなんてすごいことじゃないか。あ〜やがかわいい妹だとしても、誇れるなんて兄さんとしては羨ましいんだ。」

麻友美は、

「お兄さんに似てるかも。考え方も。」

亜希は、

「…あつき、いつからそんなにしっかりした?」
「…兄さんが気付かないだけ。昔から、兄さんとよく比べられた。兄さんはそれは煙たいのかな?違う方が幸せなのかな?全てにおいて出来過ぎの兄、そして、ノリの軽すぎる弟。まぁ、兄さんも隠すタイプだから。バレバレなのに。」
「…。」

絢美は、

「やっぱり知ってたの?」
「そりゃあ、中学の頃、中庭のベンチでいちゃついていたらわかるよ。結末知ってるからこれ以上言わないけど。」
「…。」

亜希の複雑
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