新月の夜
てた。」
「あっき〜?彼の名前ね。あっき〜、お姉ちゃんと浮気してると思ってた。」
「何で?私は…。」
「同じ顔してるの。」
「へ?」
「ファーストキスだった。それがお姉ちゃんとあっき〜のお兄さんの目の前。」

万里はびっくりして、

「あのコが亜希の弟くん…。見たことあるような…って言ってた。」

史奈は、

「浮気したと疑ったのにキスするなんて…ばれないようにするなら抱きしめるだけでも…。」

万里は、

「史奈、彼はあなたが大好きね。不器用だけど疑われても史奈が好きなのよ。これは私と史奈の内緒ね。」
「…お姉ちゃん。私も史奈大好きよ。」

万里は史奈を抱き寄せる。

「亜希には言わないわ。大丈夫。」


「何でそんなに大切な人を置いて来たのですか?」

麻友美が聞く。

「彼女もみんな知っていて。好きな事なら応援するって。彼女もついていくって。信じてるって。」
「寂しい思いさせたらダメですよ。」
「ありがとう。準備さえ整えれば彼女と暮らす。」
「私なら寂しくて泣いてしまいそう。そばにいて欲しくて、何度も止めると思います。」

じと〜。

知っている4人から悠太に注がれる視線。

(この幸せ者!)

悠太は視線に気付いて

(麻友…嬉しいけど見られてる。…恥ずかしい。)


帰りの電車、乗り換えもあり、麻友美と悠太は二人きり。悠太は、

「寂しくて泣いて、止める?」

麻友美はビクッ。

「近くにいるし。」
「…自惚れないで。自信過剰。」
「そう思っているのは事実だ。」
「…最低。根に持つわけ。」
「ふふふ。」
「…気持ち悪い。」
「麻友ちゃんかっわいい。」
「後で覚えてなさい。」
「しかと覚えておきます♪」


麻友美の家。ぐったり。

「…バカ。そりゃ泣いちゃうわよ。そっちこそどうよ…。」

麻友美はパソコンを見る。

「メッセージ?添付あり?絢ちゃんみたいだけど…。」


「さて、どっちがどっちでしょう?ぐいっ。二人の兄。あのなぁ…。だぁれ?」

兄の声。麻友美は笑って。


「わかりやす〜い。」

絢美は、

「ここに黒子があるかないかで見分けてネ☆」

亜希の首すじの黒子。

「エ.ロ.
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