ミックスラブルス

第３章・気持ちのすれ違い・忘れていた本当の気持ち

高畑Side 戻らない二人の距離・明西の優しさ

聖城高校との練習試合の日から二日が過ぎて日曜の休みが終わって今日は学校に一人で今だに練習試合の日の失態を後悔して落ち込んでいた。花原さんに嫌われただろうなぁと考えていると段々寂しくなってきてしまった。

「はぁ～、いったいどんな顔をしていればいいんだか」

そう言ってため息をつきながら珍しく誰もいない廊下を歩いているとなんだか後ろから誰かが走ってきた。

「おっはよーダーリン」

後ろから思いっきり走ってきたのは明西さんだった。明西さんは大声で明るく言いながら俺の背中に抱きついてきた。

「えっ」

「ごめん、少しこのままでいさせてくれ」

明西さんに抱きつかれた瞬間、普段だったら思いっきり引き離していたところだったけどなんだか今回は極度の寂しさに襲われていたせいで体が勝手に明西さんの腕の中で反転して強く抱きしめ返していた。予想外の展開だったのか明西さんは俺の腕の中で混乱していた。だけど俺は離そうとはしないでこのままでいさせてくれとお願いをして泣き顔を見られないように明西さんの肩に顔を押し付けた。

「うん、いいよ」

明西さんはそう言って俺の体をそっと優しく抱いてくれた。何にも追求してこないで優しく抱いてくれた明西さんの優しい行動が俺を徐々に極度の寂しさから解放してくれた。

「ごめん、急にこんなことをして、遅刻しちまうよな」

「ううん、そんなことはないよ。もし私でよかったら相談してね」

それから約５分くらいの間そのまま何も言わない状態でいた沈黙を破りながら俺は明西さんの肩から顔を上げて両手を離した。すると明西さんは顔を横に振った後に明るい笑顔で相談に乗ってくれると言ってくれた。

「あぁ、ありがとな」

「いいよ、じゃあ私先に教室に行くね」

お礼を言ったら明西さんは明るく返事をして教室へと走って行ってしまった。その時の明西さんの明るい笑顔がなんだかいつも以上に綺麗に見えた。

「あいつあんな顔するんだ」

俺はこれまで知らなかった明西さんの一面を知って呆然とその場に立ち尽くしていた。

「キーんコーンカーンコーン」

「やっべぇ、遅刻しちまう」

朝のチャイムの音で我に返って遅刻しちまうと騒ぎながらダッシュで教室に向かった。