Black in White
「…は、れ…?…っと!」
ベッドからよろり、と落ちる。眠っていた筈なのに、妙な疲労感だ。
「…頭、重…い…」
髪をかきあげた瞬間、部屋のカーテンがめくられその眩しさに眉をしかめた。
「…ん…、あに…き?何で?」
カーテンを纏め結ぶ姿を、寝ぼけ眼で眺める。
「えらくうなされてたぞ。怖い夢でも見たか?ガキのまんまだな」
「…覚えてねぇ」
「そりゃ良かった」
何故かホッとした。これ程に動悸が激しい理由は思い出せないが。白く目映い外の光が注ぎ込んでくる、その色に、酷く安堵してしまった。
同じく白い枕元の時計を見て、ハッと現実に引き戻される。
「やっべ!!寝坊したっ」
「今日休みだぞ」
「バイトだ!」
「あぁ。…にしても、お前が働く気になるとはな。何か欲しいもんでもあるのか?それかお目当ての子でもいたのか」
「るせぇっ、親父みたいな事言ってんじゃねーよっ」
「はいはい」
ヘラヘラと笑う兄をキッと睨むと、階段を駆け下りる。
バシャバシャと冷たい水で乱暴に顔を洗うと、重かった頭も少しスッキリしてくる。
(そういや、日替わりっつってたな…)
今日は何色なんだろう。
そんな事を考え出したら、朝通う度、今日は何色のシールが貰えるんだろうと楽しみにしていた幼稚園の頃を思い出して笑いたくなった。