【長編】唇に噛みついて


あたしはムーッとして、その場を去った。


何だ何だ!
こんな状況にも、あたしの味方はいないのか!!
悲しすぎるじゃないか!!


「真弓の馬鹿野郎!」


あたしは早足で仕事場に戻った。
そして机に顔を伏せた。


その後しばらくして戻ってきた真弓はあたしを見て眉間に皺を寄せる。


「あんた……何やってんのよ」


机に伏せて、黒いオーラを出しているあたしを見て呆れた顔をする真弓。


だってさ?だってさ?
須藤の事相談しようと思ってたのに……。
あんな事言われたら?
相談なんてできないじゃん?


「ふんだ。もう真弓なんか知らないもん」


「はぁ?」


「聞いてほしい事あったのにさ……?」


そう呟いた途端。
真弓の目が変わった。


「何!?何か須藤くんと何かあったの?」


うわ……。
すごい食いつき方。
さっきまでウジウジ相談されて嫌みたいな事言ってたくせに。


「あたしに相談されんのいい加減うんざりなんじゃないの?」


ムスッとしながら聞いてみると、真弓は表情を変えずにサラッと言う。


「何言ってんの?須藤くんは別よ」


はい!?
須藤だったらいいのか?
意味が分かんないぞ?
まぁ……もうそこんところは、もういいわ。
慣れたし。真弓がこんな奴だって事は。


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