sky blue

しつこい人

夜の24:00を過ぎた頃。
お店の忙しさはピークに達する。
私はいつもどおり偽物の笑顔をふりまく。
そして・・・お金をもらう。

私は”瑠美依”
私は”商品”
心なんていらないの。
苦しさも 嬉しさも 切なさも 愛しさも...。
私を想ってくれなくていいの。
私は”商品”なんだから。
私は”人形”なんだから。
誰も本当の私を観ようと和しない。
見てくれなくていい。

1人じゃないと......別れが苦しいから。
寂しいのにはもう慣れたの。
人の心の暖かさなんて思い出したくない。
また......寂しくなっちゃうでしょ?





「いらっしゃいませー。」

店の入り口のほうに目を向けると上野さんが立っていた。
私は思わず目をそらし、お客さんの相手をする。
冷静になろうと努める私に追い討ちをかけるように、

「瑠美依さん! 指名はいりました!!!!!!」


私は深呼吸をしてから明るい返事をして席を移動した。
< 77 / 102 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop