からっぽな街
「高っ!一万六千円!こんなの買えないよー。」
「うふふ。だって、それ、いいやつだもん。」
「えー。いいやつと、そうじゃないやつがあるのー?やっぱ、いいやつは、高いんだねー。ハナは、どういうの買ったの?」
「私は、一番安いやつ。」
「いくら?」
「二千円。」
恥ずかしそうに得意に言うハナを、愛しいと思った。
「安っ!私も、それでいい。」
「うん。初心者だし、そんなに本格的にやるわけでもないしね。」
「うん。そういえば、そうだね。」
「要するに、寝れればいいんだもん。」
「わはは。だね。」
「私たちは、これくらいで十分よ。」
「うん。そうする。じゃ、決―めた。」
そうして、一番安い寝袋を選んで、感触を確かめた。安いだけにとても軽く、寝袋を掴んだときに、どきりとした。だいじょうぶか?私、ここで寝て、体が痛くならないかしら。と。
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