からっぽな街

高い場所から、静寂の世界を眺める時、それもまた、贅沢なことであるのだと思う。
あぐらをかいた姿勢のまま、目を閉じ、心地よく吹く風を、全身で感じる。顔をなでる髪を、左手で耳にかける。
水筒の水を一口飲んで、唇を濡らしたまま、風の音に、耳を済ませる。さっきから、顔にあたる髪の毛は、邪魔臭いが、唇の水滴の付いている部分が、風が吹くたび、すうすうとする。
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