からっぽな街
 ボランティアのキャンプリーダーミーティングがあるというので、ハナと一緒に、池袋の東京芸術劇場まで出かけた。
テツヤと山中さんは、仕事の都合で来ることが出来なかった。テツヤが来られないのは、残念だったけれど、山中さんが行けないことには、ほっとした。
会場の側では、同年代くらいの若者達が、どんどん芸術劇場に吸い込まれて行っている。
ボランティアというから、まじめなやつらばかりだと思っていたけれど、見る限りでは、そうは見えなかった。
学生生活をエンジョイしてますというくらいに、周りを気にせず大声で笑っている女子のグループ。髪の毛を明るく染め、濃い目の化粧をした女と、その友人達と思われるおしゃれな服を着こなした明るい男たち。
賑やかに騒がしく見える、健康そうな若者ばかりだった。
受付を済ませ、指定された席を探しながら、ハナを話す。
「意外だね。」
「うん。」
「こんなに賑やかだとは思わなかったよ。このキャンプ団体って、結構大きいんだね。」
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