先生なんて言わせない

└ 嵐、到来


ケーキも食べ終わって、幸せな気持ちで廊下を歩いていた。



そんな時、


「佐野先生! やっと見つけた!!」


どこからか、若い女の子の声がした。



誰だろうと、キョロキョロしていると、佐野先生はすぐに見つけたようで、表情をゆるめた。



「樋渡(ひわたり)! 久しぶりじゃないか! いつ日本に戻ってきたんだ!?」


佐野先生はあたしが見たこともない顔をしているから、何だか不安になった。



…何だろ?


他人に向けるそんな顔は見たくない…。



しかも。


佐野先生の視線の先に立っているその子は、とても可愛い。



胸まで伸ばした長い髪。


細い体。


背は165センチくらいだろうか。


高すぎず、低すぎず、佐野先生と並んでちょうどいい身長。

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