先生なんて言わせない

└ キスは強引に


「うらやましいな~」なんて言うあゆみちゃんと

「ま、頑張りなさい」なんて苦笑いするれみちゃんと別れ、


あたしは体育教官室の前までやって来た。



代われるものなら代わってほしいよ。


やっぱり佐野先生は苦手だな。



はあ~~~ッと深いため息をつきながら、教官室のドアをノックした。



コンコンと鳴るその音は、教官室の近くにある体育館やグラウンドからの部活のざわめきで、かき消されてしまいそうだったが、

中からは「おー、入れ」と返事があった。



完全にかき消されちゃえば堂々とサボれたのに…。



仕方ないと意を決して、あたしは扉を開けた。



「失礼しま~す…」


中をのぞくと、5つほどある机のひとつ、窓側の席に佐野先生は座っていた。



「高村、こっち来い」


タバコ片手にそう言われて中に入っていくと、

先生の机の上は大量のプリントで埋めつくされていた。

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