先生なんて言わせない

├ 勉強と混乱


教室まで戻ってみると、鷹井くんが窓の外を眺めて立っていた。



「鷹井くん、何してるの。部活は?」


彼は顔をこちらに向けて、さわやかな笑顔を浮かべた。



「今日からテスト一週間前だから部活休みなんだ。

で、高村のカバンが机の横にあったから待ってたんだ」


「あたしを?」


首をかしげながら、鷹井くんの側に行った。



「あゆみちゃんから佐野先生との賭けの話聞いてさ。

よかったら俺が勉強教えてあげようかと思って」


「本当に!?」


自然と、口もとがゆるんだ。



鷹井くんは中間テストで学年8位を取るくらい、頭いいんだ。


彼に教えてもらえば希望が見えてくる。



「ありがとう、よろしくね!!」



こうして、あたしと鷹井くんの勉強会が始まった。




< 94 / 354 >

この作品をシェア

pagetop