6年目の愛してる
「・・紗絵ッ!?」
俺が紗絵の名を呼ぶと紗絵は一瞬目を見開き、動揺した素振りをみせる。
絶対に勘違いされてる。
俺は紗絵の誤解を解こうとした。
すると紗絵が近寄ってきて俺に傘を押しつけるようにさしだす。
「えと、あの・・・か、傘忘れてたみたいだから・・・そのっ!えと、これ使って・・・!」
紗絵の早口に圧倒され、俺は傘を受け取って呆然としていた。
「紗絵ッ!」
俺が紗絵を呼んだときには紗絵はもう走り出していた。