例えば、もしも…
例えば、もしも…
俺の部屋

目の前で寝転がり、雑誌を読む彼女。

最近染めて栗色になった綺麗な髪が邪魔して、その表情は伺えない。

だけど、きっといつもと変わらない少し幼い顔付きで、お気に入りを探してるんだ。


「何か可愛い服あった?」

「ん〜?うーん…」

「どっちだよ?」


俺の問い掛けにも、曖昧な返事しかしないのも、また日常。

ベッドに腰掛けていた体を彼女の左隣に移動させ、同じように寝転がり雑誌に目を移した。


「これ、可愛くない?」

「おー、いんじゃね?お前の好きなピンク。」

「ね!」


君の好きなピンク色したワンピース。

同意した俺に可愛く笑って、また雑誌に視線を落とした。その横顔を見ながら、不覚にも幸せだなぁ…なんて、柄になく思った俺の頬は、きっと緩んでいるんだ。


「…なぁ。」

「ん〜?」


気のない返事しかしない君の、左耳に顔を隠す髪をかける。

くすぐったかったのか、君は少し震えた。
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