隣の先輩
 その方向には父兄なのか、スーツを着た人の姿を見つけた。


「もし、分からなかったらあそこにいる先生にもで聞いてください」


 彼は優しい笑顔を浮かべている。


 母親は西原さんにお礼を言うと、その方角に向かって歩いていく。


「で、クラスを確認しないといけないか」


「いいですよ。自分で確認しますから」


 そう言ったのはこれ以上彼に迷惑をかけさせたくなかったから。


「いいよ。どうせ途中までは行き先が同じだろうし」


 そう言うと、西原さんは歩き出した。


 あのときといい、すごくかっこよくて優しい人だと思う。


 家が隣とはいえ、見ず知らずに私のためにそこまでしてくれるんだから。
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