隣の先輩

 いつもと変わらない彼女の様子に思わず聞いてみたくなった。


「何か感じない?」


「何?」


 咲は自分の腕を見て、周りを見る。そして、眉をひそめていた。


「寒いの?」


 不思議そうに首を傾げる。


 これに全然気付いていないのがすごい。


「そうじゃないけど、いいよ」


 そう返すことしかできなかった。


 彼女は鋭いとは思うけど、自分に関することだけは謀ったように鈍い。 咲らしいといえば咲らしいのかもしれない。


 最初に入ったのはティーポットを売っているお店だった。


 彼女はうれしそうにそれを見ていた。

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