隣の先輩
 そのときの会話を思い出して、もしかしてと思ったのはデートという言葉。


 その言葉が先輩にとって引っかかっていたのかもしれないと思った。

学校に着いて、森谷君に挨拶をした。


 彼は落ち着いた顔で私を見る。


「解決したんだ。昨日のこと」


 言われて思い出す。宮脇先輩のこと。


 そのとき、顔に出ていたんだろう。森谷君の顔が一瞬引きつるのが分かった。


「ごめん。触れないほうがよかったみたいだね」

「うんん。いいよ」


 というか、私だけ西原先輩とデートの約束をしてしまったってことは悪いことのような気がしていた。


 気にする必要はないのかもしれないけど、やっぱりそんなわけにはいかないような気がする。


 でも、どうしたらいいのかもよく分からなかった。



 もうすぐ高校に入って最初の夏休みになろうとしていた。
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