隣の先輩
「うん。まだ結構綺麗だと思うよ。私の家も急じゃなかったら大丈夫だと思うよ」


「咲はいい?」


「いいよ。私の家も前もって言ってくれたら大丈夫」


 愛理の言葉に、咲も笑顔を浮かべていた。


「決まりね。車とかあれば遠くまで行けるのにね。

来年になったら兄貴が免許取るだろうから、遠くまで行けそうだけど」


「依田先輩はこの辺りの大学を受けるの?」


 そう言ったのは咲。


「今のところはそうみたいだよ」


 愛理は笑顔で答えていた。


 大学か。先輩はどの大学を受けるんだろう。


 当たり前みたいにずっと隣だと思っていた。


 でも、よく考えたら先輩の住む家はあの隣の部屋でないのかもしれない。


 大学は県外に出ることも少なくないからだ。


 私はやっぱり先輩のことを何も知らないんだって思う。


 先輩に大学はどこを受けるのかって聞いていいものなんだろうか。


 それとなく聞ければいいかもしれないけど、私はすぐ顔に出てしまうから。
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