隣の先輩
 紅茶と一緒に和葉さんの出してくれたクッキーを全部食べてしまっていた。


 それを見て、和葉さんは嬉しそうに笑っている。


「ここのお店のおいしいと思わない?」

「おいしいですね」


 それはお世辞ではなくて、本当にそう思った。


いつかの母親が準備していたケーキも和葉さんにおいしいと聞いたお店らしい。


「遅いわね」


 紅茶を飲みながら、和葉さんは息を吐く。


「先輩はどこに行ったんですか?」


「本屋に行くって出て行ったの。私も近くのお店に買い物をして帰ってきたところ。

時間かかると言っていたけど、もう帰ってきてもいい時間だと思うのよね」


 お守りを渡すだけなのに、時間の経過と共に緊張が高鳴っていく。


 私は気持ちを紛らわすために顔を軽く叩いた。


「真由ちゃんの弟の裕樹君って写真とか嫌いだった?」

「写真?」


 写真と言われてもぴんと来ない。


「話すより見せるほうが早いわよね」


 和葉さんは「少し待っていて」と言い残すと、リビングから出て行った。
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