隣の先輩
 私は今まで話をしなかった誕生日の一件を愛理に話す。


 愛理はその話を聞いて苦笑いを浮べていた。

「真由があげたいと思うならあげたらいいと思うんだよね。告白は難しいかもしれないけど、それとなく気持ちを伝えておけば?」

「それはそれで難しいかも」


「ま、チョコレートも『好き』と言わなくても今までお世話になりましたってことで渡しておくだけでも、先輩からの印象ってすごく違うと思うんだよね。気持ちを知られたくないなら義理でもいいと思うし」



 その愛理の言葉は依田先輩の言っていた言葉をなんとなしに思い出させた。それに今まで気にしていたことをすっと楽にさせてくれ、チョコレートに手を伸ばしていた。


「そうだね」


「真由は先輩と仲いいからそんなに気にすることはないと思うけどね」


 そんな愛理の言葉に十二月の出来事を思い出し、そんなことはないと思ったけど、口には出さなかった。


 愛理が好意で言ってくれたことが分かったから。


 私は迷った結果、生チョコを買うことにした。



 愛理たちと別れ、チョコの入った紙袋を見る。


 でも、バレンタインなんて脇から見ることはあったけど、実際に買うことはなかった。


 あげるのも初めてで、お守りさえなかなか渡せなかったのに、私があげることってできるんだろうかと思ったときだった。
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