キョウアイ―狂愛―
「ありがとう」
クレアは膝をつき同じ目線で、サイファをまっすぐに見つめそう言った。
こぼれ落ちる涙は、どんな宝石より美しく光り輝いている。
―――これは、……幻影か?
頭がグラグラする。貧血だ。
クレアがそんな言葉を口にするとも思えない。
これは俺の作り出した幻だ。
「……それに……今となって、その言葉に何の意味がある……?」
現実ならば、ごたくはいい。それよりもさっさと俺の血を飲み干し逃げてくれたほうがありがたい。
そんな言葉を脳内に並べながらもサイファは、自分をまっすぐに見つめるクレアから目を離せないでいた。
クレアの手は、止血しようとしているのか、パタパタと血の滴るサイファの手首を強く抑えている。
「……そうだな。死に際の告白に何の価値もない。もはや消えゆく身。
……こんな時にならなければ、本心を告げられぬ我を……許せ」
強く握られた手首。破損箇所が熱く脈打つ。
これは現実か?
「我は、最後の時をお前と共にありたい。サイファ、お前と一緒が、いいんだ……」