キョウアイ―狂愛―




ジキルとクレアのやり取りに無関心な様子だった子分達は、いつの間にか静まりかえり、ジキルの告白に耳をそばだてていた。




クレアしか目に入ってなかった赤髪のお頭は、突然子分に指摘され、髪も赤いのに顔までも真っ赤に染め、


「バッ……てめーら、何聞き耳たててんだ〜!!
人の真剣な告白を……っ、邪魔すんじゃねぇ〜〜」



照れ隠しか、周りにいる部下達をボカボカ殴り出す。



部下達は殴られたり投げられたりしながらも



「お頭が間違ってるから指摘してんじゃないですか〜!?ギャッ」


「俺達だってお頭に幸せになって欲しいんですから〜っいてっ!」


「真剣な告白に『ぞェ』はダメですよ。『ぞェ』は!?あーれー!」



からかってるのか真面目なのか、ジキルにあーだこーだ指摘している。





その様子についにクレアは吹き出した。



「ク、クレア!ひでぇ〜。なんで笑うんだよ〜〜?」


顔を赤らめたジキルは、巷で噂の赤髪の盗賊団のお頭だとは思えぬ程、親しみやすく、


クレアは久しぶりに声を出して笑った。



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