生きてるアナタへ
●私の知っているアナタ


「ねぇ、華。知ってる?」

「ん?何を??」


わたし木立 華(こだち・はな)。

ふっつうの中学生。



「楠田 袮緒(くすだ・ねお)って人! いつもヘッドフォンつけてる」


友達のナツメは、一生懸命そのネオって子の説明をしている。


……ネオなんて、聞いたことないけどなぁ。



「ごめん、わかんないな」


私は首を少し傾けてナツメに謝った。

これは私のお気に入りのポーズ。


だって、こうすれば大抵の人は、なんだって許してくれるから。



「なに、その子と仲良くなりたいんだ。ナツメは」

「え、違うよ〜!」


ニヤつきながら、私はナツメをひじでつつく。


彼女はと言えば、両手をブンブン振りながら否定してるけど。

……逆に怪しいって。



「で? いきなり何なの、その…、ネオちゃんだっけ?」


私の発言に目を見開くナツメ。

何かに驚いているような表情で、完全にフリーズ。



「……ネオちゃん、って言った? 華」

「えっ、ごめん、違った?」


固まっていたナツメは、今度は激しく眉間にシワを作りながら、私に問う。


聞いた通りの名前を挙げたと思ったんだけどな…。

違ったっけ?



「いや、袮緒って男子、だから」
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