甘い魔法②―先生とあたしの恋―


呆れ笑いを零しながら階段を上がるあたしに、先生は何も言わなかった。

静かな先生の後ろ姿を見ていると、小さな不安が募っていく。


……今、何を考えてるんだろう。

何か、言葉を呑み込んだりしてる……?


そんな事を考えて、唇を噛み締めてから先生の背中に話しかける。

今まで言った事のないような言葉を。


「先生……」

「ん?」

「先生の部屋、入ってもいい……?」


言い終わると、すぐに驚いた顔をした先生が振り向くから、顔が熱くなる。

その顔を少しだけ俯かせて黙っていると、先生が小さく笑みを零したのが聞こえた。


「それ、誘ってんの?」

「……っ、違うっ……違くてっ、……その、あまり二人きりで話してないから……話したいなって思って」


顔は真っ赤だし、言葉も途切れ途切れなのに。

先生は満足そうに笑う。


そんな先生の笑顔を見たのが久しぶりに感じて……、あたしはじっとその笑顔を見つめた。


< 127 / 458 >

この作品をシェア

pagetop