甘い魔法②―先生とあたしの恋―


「……今日、見学とかできねぇの?

また前みたいに倒れたら大変だろ」


顔を歪ませた先生に言われて、安心させるために笑顔を作る。


「そこまでじゃないから大丈夫」

「でもおまえすぐ無理するし」


すぐに言い返されて、今度は本当に笑いながら答えた。

心配症の先生が、おかしくて……、嬉しくて。


「体育大会は一人二種目までしか出られないんだよ。

だから、あたしが抜けたらその分得点が稼げないし」

「……つぅか、生徒ってそんな必死にやってんのか? 

優勝したって賞状出るだけだろ。あんなん簡単に印刷できるし」

「なんかやな大人がいる……」


不貞腐れながらも笑みを零すと、先生はまだしかめたままの表情でため息をつく。

あたしの態度に、見学って提案が無理だと諦めた様子だった。


「じゃあくれぐれも無理すんなよ」

「うん」


素直に頷くと、先生はまだ納得いってなさそうな表情を向けて……。

最後は呆れ笑いを落とした。



< 144 / 458 >

この作品をシェア

pagetop